神頼みしてまで叶えたい願い事

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私が叶えたい願い事は、会えなくなった友人が生きていた頃に戻りたいと言うことだ。
この頃私は県外でバンド活動をしていたのだが、沢山の友人に囲まれ毎日楽しく活動していた。
あの頃は遠い将来に会えなくなってしまう友人が出てくるとは思っていなかったため、よくケンカをしてなかなか素直に謝ることができないままでいることが多かった。
しかしそれでも私たちは次会うときにはいつも通りのやり取りができるほど関係が元通りになるため、『いつでも謝れば許してもらえる』と考えていたのだ。
ある日、高校を出てから初めてその友人に会う機会があった。懐かしさからいつものじゃれあいややり取りが懐かしく感じ、高校時代に戻ったような気持ちになった。
その時会ったのは、その友人が結婚をすると私に報告をするためだったのだが、またしても私は学生時代のノリでからかってしまい友人を怒らせてしまったのだ。
ここまでは今まで通りの流れだったのだが今回ばかりは友人に電話をしても繋がらず、ただただ時間が過ぎていった。
私もあまりに友人が私のことを拒むのでむきになってしまい、しばらく電話をするのもメールをするのもやめようと思った。
それから3ヵ月後東日本大震災が起きた。幸い、私の住んでいる所は日本海側で何ともなかったのだが、高校時代のバンド仲間はみんな太平洋側に住んでいる。
私はあの時必死だった。何度かけても繋がらない電話にイライラし、友人の安否が分からないまま過ごす不安。なかなか眠れない毎日が過ぎ、ようやく友人から電話がかかってきたのは震災から半月後のことだった。
電話をかけてきてくれたのは、ケンカしたままでいた友人の母親だった。私は嫌な予感がした。わざわざ母親が電話してくると言うことは、友人に何かあったのではないだろうかと。
話を聞いていくと、頭が真っ白になってしまい私は携帯電話を落としてその場に倒れこんでしまった。
『津波にのまれてしまった。』
信じたくなかったが確かにそう言った友人の母親の声は震えていて、私が今すぐそこに行かないとどうにかなってしまうのではないかと感じるほど悔しそうな声を上げていたのを覚えている。
私は友人が助かるように毎日神社にお参りに行っていたのだが、震災の翌月に友人の遺体が発見された。
あれから数年が経ち、三月になるとバンド仲間とは必ず集まるようにしている。しかし、一人足りない事実が毎回寂しさを蘇らせる。
いつかまた会いたい。ケンカしたままで合えなくなってしまったからと言うのもあるが、許してもらえなかったとしても生きていて欲しかった。
友人が生きられなかった年月を私は今生きているが、友人の分もしっかり生きていこうと決めている。
神様が願いを叶えてくれるなら、どんなことでもすると思う。